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よく耳にする【滅菌/殺菌/除菌/抗菌】とは
新型コロナウイルスの拡大により、世界中で感染予防への意識が高まり、日本でも様々な感染予防が日常的に行われています。公共の場では一定距離の確保(ソーシャルディスタンス)や体温チェックは当たり前となり、個人でもマスクの着用や手洗いやうがいが日常化しました。
その中でよく耳にするのが除菌シートや抗菌マスクなどの「菌」に対して効果がありそうな言葉や商品。
感染予防としてなんとなく効果はあると思うんだけど実際はどういう効果があるの?抗菌と除菌って何が違うの?殺菌や滅菌って言葉もあるけどいまいち違いが分からない…
そんな方のために今回は四つの〇〇菌について違いや強さを解説します。
販促品として提案する際にも、この違いを明確に説明できれば商談で喜ばれること間違いなしだと思います。
そもそも菌って何?
菌(細菌)とは1つの細胞しかない単細胞生物のことを言います。 人間の体には皮膚の表面や腸の中までありとあらゆるところに菌は存在し、少なくとも6,800種、正確には分かっていませんが40万種ほどが存在するとされています。 細菌と聞くと「体に害を及ぼすもの」と思われる方もいるかもしれません。もちろん有毒株の大腸菌や結核菌のように感染して病気を引き起こす菌がいる一方で、ビフィズス菌や乳酸菌のように増殖することで健康維持に役立つ菌もいますので、必ずしも『菌=悪』というわけではありません。
『菌』と『ウイルス』は違うの?
新型コロナウイルスの拡大により『ウイルス』という言葉をよく聞きますが『菌』とは違うのでしょうか。
『菌=ウイルス』と思っている方も多いかもしれませんがこの二つは異なります。
ウイルスは細菌の1/50程度の大きさしかなく菌が単細胞生物なのに対し、ウイルスは自分で細胞を持ちません。細胞がないため単独で生存はできないので、宿主となる他の生物の細胞に入り込み生存します。人体にウイルスが侵入すると、人の細胞の中に入り、ウイルスが自身を増殖させていきます。ウイルスにとっては他の宿主を見つけ感染させ続けることが生存するための必須条件になります。
『菌』と『ウイルス』が異なるということは、「今回のテーマである『〇〇菌』という言葉はウイルスには関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、この場合の『〇〇菌』の『菌』という言葉には『菌やウイルス』を総称した意味があります。
四つの『〇〇菌』【滅菌/殺菌/除菌/抗菌】を詳しく解説
滅菌とは
滅菌の『滅』は『全滅』『滅ぼす』ことを意味します。すべての微生物を殺滅、または除去することを意味します。(有害・無害を問わず)ただし、100%完全に無菌であるかどうかの判断は困難で、実際には「微生物を限りなくゼロに近づける」という確率的な概念になります。日本薬局方では「微生物の生存する確率が100万分の1以下になること」が定義づけられています。
先述しましたが人間をはじめとする生物には多くの菌が存在し、生体を全くの無菌にすることは現実的には困難です。なので「滅菌」という言葉を人間に対して使うことはありません。使用されるケースは主に医療用器具などに対して使われ、代表的な滅菌処理品は手術道具・注射器などの医療用具、傷口に当てる治療用ガーゼ、絆創膏、パッド類なども滅菌処理しているものがあります。
殺菌とは
こちらも読んで字のごとく『菌やウイルスを殺すという意味』です。
必ずしもすべての菌が死滅させることを保証するわけではありません。一部の菌が死滅する効果があれば表示上は『殺菌』と謳うことができます。
しかし、この言葉は消毒薬などの「医薬品」や薬用石けん、薬用ハンドソープなどの「医薬部外品」にしか使用できず、洗剤や漂白剤などの日用雑貨品には使えません。
ですので、殺菌効果があり、菌を死滅させられる食器用洗剤があったとしても「殺菌」と謳うことはできないのです。
除菌とは
除菌には「菌やウイルスを除いて減らす」という意味があります。法律的には食品衛生法で「ろ過等により、原水等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を除去すること」と定められています。
しかし実際のところ、どれだけの菌を減らせば「除菌」になるのかという明確な定義はありません。例えば、机の上を除菌と謳っていないお掃除シートで拭くだけでも結果的に菌が減っていれば除菌と言えますし、手洗いも手の菌を除いて減らせていれば「除菌」と言えるでしょう。
基本的には商業用語として使われ、除菌と謳われる商品は主にジェルやウェットシート、洗剤などの雑貨品に使用される場合が多く、その定義づけに関しては、例えば石けんの場合、<洗剤・石けん公正取引協議会>の方により「物理的、化学的または生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を、有効数減少させること」と除菌について定められています。このように『除菌』と謳っている商品については各分野の団体がそれぞれに自主基準を設け、定義づけを行っています。
先述した「殺菌効果がある食器用洗剤」があったと場合「医療品・医療部外品』ではないので「殺菌洗剤」といは言えないと書きましたが、その場合「除菌洗剤」となっているかもしれません。
そういった意味では四つの〇〇菌という言葉の中で一般的には最も目にする機会が多い言葉かもしれませんね。
抗菌とは
抗菌は「菌の増殖を抑制する」という意味で使用されますので、これまでに説明した三つの言葉とは根本的に意味合いが異なり「死滅や減少させる効果」というのはありません。定義づけとして経済産業省の<抗菌加工製品ガイドライン>では「抗菌加工した当該製品の表面における細菌の増殖を抑制すること」とされていますが。どちらかというとこちらも除菌と同じく商業用語になります。
抗菌加工には様々な方法があります。そのため、タオルやハンカチ、靴下やシャツなどの衣類、パソコン用品、ぬいぐるみ等のおもちゃ、キッチングッズ、書籍にスリッパ、便座に至るまで、様々なカテゴリーで幅広く抗菌加工の施されている製品は存在します。しかし、抗菌と謳いながら検査機関がテストを行うと抗菌効果がみられない製品も出回っているため、SIAA(抗菌製品技術協議会)やJHPIA(日本衛生材料工業連合会)など様々な団体では業界指針や自主基準を設け、抗菌効果が認められた製品について独自の認証マークをつけることで品質を保証するようになりました。
どれが一番強い?
四つの言葉について上記で説明しましたが、定義上もっとも強力なのは「滅菌」です。しかし使用されるのは医療現場で使う製品がほとんどで一般的に耳にする機会は少ないでしょう。「殺菌」は菌を死滅させるという意味では非常に効力の強い言葉に感じますが死滅させる菌の量に細かい定義はなく、消毒液など「医薬品」「医薬部外品」にしか使用できない点からも滅菌と同様、使われるものは限定されます。
一方「滅菌」「殺菌」に比べると「除菌」「抗菌」というのは定義上、言葉としての効力は劣ることになりますが日用品に多く使用されています。
「除菌」が菌を減少させるのに対し、「抗菌」は菌を減らす効果は無く、増殖を抑制する効果に留まります。そういう意味で「菌を減らす」という効力だけで比較すると「除菌」の方が強いということになりますね。
このように四つの言葉にはそれぞれに特徴があり、その言葉を使えるカテゴリーや、効力を発揮する対象が何なのか、使用する側が何を求めているのか等、単純に効果を数値化して比較できるものではないということがよくわかりますね。
『抗ウイルス』ってたまに聞くけど…抗菌と抗ウイルスって違うの?
抗菌は先述した通り「菌の増殖を抑制する」ことです。それに対し、「ウイルスを不活化させ感染力を失わせる」ことが抗ウイルスの定義です。
同じ意味だと勘違いしやすく混在しやすい二つの言葉ですが、先述の【『菌』と『ウイルス』は違うの?】を理解すると、この二つの言葉の違いもより明確になるのではないでしょうか。
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まとめ
「滅菌」「殺菌」「除菌」「抗菌」の四つの言葉。これまでは「イメージで何となく理解していた」という方も多かったのではないでしょうか。大きく二つに分けると「滅菌」「殺菌」が医療的な言葉。「除菌」「抗菌」が日用雑貨に使用する言葉となります。現実的に私たちが日常的に行えるのは菌を除く手洗いやうがいなどの除菌行動と、菌が増えない抗菌商品の使用などに限られます。販促品として提案する際にも、この違いを理解したうえで明確に説明できれば商談で喜ばれること間違いなしだと思います。それぞれの言葉を正しく理解して自分の目的に合った商品を選びましょう。
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