売上を伸ばすために力を入れて取り組まなくてはならない販促活動ですが、より多く売りたい、より良く見せたい、よりたくさんの方に知ってほしいという思いが、実際の自社商品やサービスの実態よりも誇大な表現になってしまうことも少なくありません。
近年、食品などを中心とした虚偽表示などが発覚し大きな社会問題となったのは記憶に新しいと思いますが、業界が違っても広告や販促などいわゆる情報発信に携わる全ての方にとってこのニュースは決して他人事ではありません。また今では景品やチラシを配布するといったアナログ手法の販促活動だけでなく、WEBサイトやメール、SNSなどデジタル媒体を使用した多種多様な情報発信でセールスプロモーションを進めることも多く、押さえておくべき法律や権利も比例して幅広くなってきています。
全てを網羅して販促活動を進めることは大変難しいと思いますが、それでも知らなかったでは済まされない販促にまつわる法律や権利について、最低限は知っておきたいポイントをご紹介し、皆さまの販売促進にお役立ていただければと思います。
「景品表示法」について
景品表示法とは正式には「不当景品類及び不当表示防止法」といい、主に下記の2点を目的とした法律となっています。
- 消費者がノベルティや景品などのいわゆるおまけにつられ、品質や価値の劣る商品やサービスを購入し不利益を被らないように守る
- 企業同士が、景品を使った行き過ぎた不健全な競争にならないよう歯止めをかける
景品表示法には販促品やノベルティを扱う上で避けては通れない法律であり、押さえておくべきポイントも複数ありますが、当サイトではこの景品表示法を分かりやすく解説した記事をご用意しておりますので、こちらをお読みいただければと思います。
また詳しくは景品表示法の所轄である消費者庁のホームページもご覧ください。
「商標権」について
皆様も聞いたことのある商品名や見たことのあるブランドロゴに対して、信頼感を感じて購入する経験も多いのではないでしょうか。提供する企業にとっては長年の積み重ねで得た信頼感のある商品やブランドに対して、他社が紛らわしい名前やロゴマークでの類似商品を世の中に出されることで、大変な不利益を被ってしまうことは想像に難くありません。
このようなケースを避けるため、商品やサービスについている名前やロゴのような目印を独占できる権利を「商標権」といいます。商標権は特許庁に登録される権利であり、文字や図形だけではなく、音や色彩、動き、位置など、多くの方がその商品やサービスを思い浮かべられることが容易な要素は全てこの商標権によって独占できる権利を持つことができます。
商標権につきましても、当サイトで分かりやすく解説した記事をご用意しております。ノベルティと商標にまつわる実際に起きた裁判事例を挙げてご説明しておりますので、ぜひご覧いただければと思います。
また詳しくは商標権の所轄である特許庁のホームページもご覧ください。
「意匠権」について
意匠権とは簡単にまとめると、商品のデザインについて独占できる権利となります。市場で自社の商品を差別化し特徴づける最大の手法は外観のデザインによるところが大きいのですが、内部の技術的なアイデアと違い外観のみを真似ることはさほど難しくないことから、話題性の高い商品が市場に出ると、後を追って模倣品が次々と出てくるケースも少なくありません。このようなコピー品や類似品から自社の営利を生み出す画期的な商品を守るのに絶大な効果を発揮するのが、この意匠権となります。
「商標権」と「意匠権」は産業財産権という括りでまとめることもでき、この産業財産権につきましても当サイトで自社の事例を扱った分かりやすい記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
また意匠権につきましては、詳しくは商標権の所轄である特許庁のホームページもご覧ください。
参考:特許庁|意匠制度の概要
「著作権」について
著作権とは、美術・音楽・学術・文学など芸術分野の創作物を保護するための権利となります。
このように書くと何やら高尚な芸術にのみ発生する権利の様に思えますが、自身で撮影した写真や描いたイラストなど、あらゆる創作物は行政機関などを通す必要なく世の中に出た瞬間にこの著作権で守られる権利を持つことになります。ですので、ノベルティ制作などでWEB上にアップされている写真やイラストなどを無断で拝借して使用したり、既存のデザインやキャラクターなどを模倣して制作するのは著作権侵害に当たりますので絶対にやめましょう。
「不正競争防止法」について
不正競争防止法とは、不正な競争によって利益を侵害された、または侵害される不安に対して差し止めや損害賠償を企業が請求できる法律となります。
自社の商品やサービスを模倣から守るには、これまでにご紹介いたしました「意匠権」や「商標権」への登録が一番確実ではありますが、これらの権利を取得していない場合であってもこの不正競争防止法」によって保護される可能性があります。なお保護期間は日本国内での販売から3年となります。逆に言えば他社のノベルティなどの販促物にはこの不正競争防止法が働いているといえますので、安易な模倣を避けたグッズ制作などを心がける必要があるといえるでしょう。
この「著作権」と「不正競争防止法」は大きな括りで知的財産権の中に含まれる権利となります。
「個人情報保護法」について
個人を識別できる全てのものを保護する法律が、この個人情報保護法となります。氏名や生年月日はもちろん、指紋データ等といった目に見えるものから、人種、身分、あらゆる経歴などもこの保護対象に入ります。顧客情報などの情報を扱う全ての事業者は、利用者や消費者が安心して個人情報の提供ができるよう、この個人情報保護法のもと共通のルールを定め有効活用していく必要があります。ノベルティや粗品を配布する機会として、展示会での名刺交換やアンケートへのご協力依頼などがあるかと思いますが、個人情報保護法のもと利用目的を通知し正しく取り扱う必要がありますのでご注意ください。
なお、当サイトを運営し販促品・ノベルティの専門メーカーである株式会社丸辰はプライバシーマークの取得企業であり、規定された個人情報保護方針と運営体制に基づいてお客様の個人情報を取り扱っております。
「特定電子メール法」について
特定電子メール法とは、短時間・大量・無差別に送信される広告を目的とした電子メール、いわゆる迷惑メールやスパムメールと呼ばれるものを規制する2002年に施行された法律になります。
また「特定電子メール」とは、営利目的の商品やサービスに関する情報を広告・宣伝する目的の電子メールのことであり、表面上は宣伝文句などが入っていなくても営業目的のWEBサイトへの誘導があればこの特定電子メールの対象となります。逆にご挨拶やご請求などの事務連絡のみであれば特定電子メールの範疇には入りません。
宣伝目的の電子メールを大量に送ることを控える他に、もう一つの注意点「オプトイン方式」という言葉も覚えておきましょう。ECサイトなどでの決済時に「ご案内メールなどをお送りしてよろしいでしょうか?」のような質問に対して「はい/いいえ」といったチェック項目を見かけた経験があるかと思います。特定電子メール法では、このように事前に許可を得た方宛のみにしか特定電子メールを送信してはいけません。このように特定電子メール送信への許諾をいただくことをオプトインといい、許諾をしない意思を示した場合はオプトアウトといいます。なお特定電子メール法ではこのオプトイン取得の記録を保存しておく必要がありますのでご注意ください。
「薬機法」について
薬機法とは医療品や医療機器などへの有効性や安全性を守るための法律になります。
対象となる製品への宣伝文句には薬機法により様々な制限がかけられており、例えば一般化粧品であれば表示可能な効能効果は全部で56種類と決められています。これ以外の効能効果については事実かどうかに関わらず、広告などに表示すると薬機法によって罰則の対象となります。また「※個人の感想です」とうたうことで回避することもできませんので、対象となる製品の販売促進を行う際には特に注意して進めましょう。
薬機法は厚生労働省の所轄となりますが、法令や事例などを全て把握することは大変難しいのが現状です。まずは厚生労働省が定めているガイドラインを確認し、自社の販促物が抵触しているかどうか不安な場合には専門家へのご相談をお勧めいたします。
参考:厚生労働省|医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について
まとめ
いかがでしたでしょうか。現実的にはこれらの権利や法律をすべて把握して販売促進を進めることは難しいといえるでしょう。ただ過去の事例と照らし合わせると問題が起こった際には、「故意」であったのか、あるいは「過失」であったのかが注目されるポイントであったケースが多いようです。最低限の知識だけでもあれば、意図せず権利や法律に反してしまう行為になってしまうのを未然に防ぐことができるかもしれません。知らなかったでは済まされない販促にまつわる法律や権利は、販売促進に携わるのであれば少しづつでも知識として取り入れ、企業イメージや商品ブランドを損なわないセールスプロモーションを心がけていきたいですね。
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