大手のコンビニやスーパーなどで、お弁当やデザートを買った際に無料で配布されている「プラスチック製スプーン」。便利で助かる製品ですが、2022年4月1日から施行の「プラスチック新法(プラ新法)」により有料化になることはみなさんはもうご存じでしょうか。この新法施行により2020年7月からスタートした「レジ袋有料化」に引き続き、使い捨てプラスチック製品の有料化がますます進みます。今回はこのプラスチック新法についてご説明させていただくとともに、有料化するにあたっての理由や目的、プラスチックごみによる「環境問題」について解説し、この環境問題を意識し販売促進でも貢献できるおすすめのノベルティも合わせてご紹介いたします。
プラスチック新法とは?
プラスチック新法(プラ新法)は、正式には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」といいます。
これは環境省がプラスチックごみ削減を目的とし、2021年6月に可決・成立した「プラスチック資源循環促進法」に基づき、2022年1月14日の閣議決定により2022年4月1日からの施行が確定いたしました。メディアなどでよく話題となるのはプラスチック製スプーンですが、無料配布の「使い捨てプラスチック製品12品」が対象となります。
参考:プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)の普及啓発ページ
有料化されるプラスチック製品
コンビニやスーパーなどで無料配布されている使い捨てプラスチックスプーンの他、ストローやフォークなど、計12品が「特定プラスチック使用製品」として有料化の対象となります。日常生活でもらう機会の多い製品なので、まとめて確認しておきましょう。
コンビニ・スーパー・カフェなど
- スプーン
- フォーク
- ストロー
- ナイフ
- マドラー
ホテル・旅館・宿など
- 歯ブラシ
- くし
- ヘアブラシ
- シャワー用キャップ
- かみそり
クリーニング店・衣料品店など
- ハンガー
- 衣類用カバー
使い捨てプラ削減義務の対象企業
続いてはプラスチック製品削減や、有料化が「義務化」されている企業を解説します。日常で利用することの多い店舗が義務化の対象になるかもしれないので事前に確認しておきましょう。
- コンビニやスーパー
- ホテル等
- クリーニング店等
大手のコンビニやスーパーなど、年間5トンを越えるプラスチック製品を提供している企業には有料化などの対策が義務付けられます。取り組みが不十分な場合は、国からの勧告や社名を公表するなどの処置が施されます。また、勧告や命令を受けても適切な対応を取らない企業には50万円以下の罰金が科せられるなど、政府が対策を検討しているようです。
対象企業が行う対応
プラスチック製品削減を義務化される企業では、2022年4月からの有料化にともない、以下のような対応が求められます。
有料化
無料配布を取りやめ、有料で消費者へ提供する(2021年現在、価格は未定)
有料化商品の提供を断った人へのポイント還元
プラスチックごみの使用量削減を狙う
消費者への有料化商品の受け取り意思の確認
木材や紙など、代わりとなる素材への転換
回収後の再利用
回収後に新たなプラスチック製品を作るための資源として再利用する
以上の対策が義務化されるので、使い捨てプラスチック製品を受け取る側の消費者だけでなく、提供者や生産者側も、それぞれに合った対応が必要となります。
有料化の理由・目的
近年ではレジ袋の有料化など、プラスチック製品削減の動きが進んでいますが、何故このような動きになっているのでしょうか?ここでは、プラスチックごみの削減を働きかける理由や目的について解説していきます。
SDGsの取り組みにより環境に対する意識が高まっている
現在、国連加盟国193ヵ国が2016年~2030年で達成するために掲げた17の目標「SDGs(持続可能な開発目標)」の取り組みが進んでおり、海洋汚染対策のためプラスチックごみ削減の意識が高まっているとされています。プラスチックごみ削減は海洋汚染対策に繋がるのでSDGsの14番目である「海の豊かさを守ろう」に該当します。
プラスチックの使用量削減
世界では年間3億トンを越えるプラスチックが生産されており、内9割がリサイクルされずに埋め立てられたり、焼却されたりしています。また、海に流れ込んでいるプラスチックごみは年間800万トンと言われています。
参考:WWF JAPAN/海洋プラスチック問題について
また、国内では「プラスチック循環利用協会」によると2019年に850万トン以上のプラスチックごみが排出されたと言われており、2018年の国連環境計画によると、日本の総合量は世界5位、1人あたりの排出量は世界で2位という結果が出ており、決して他人事ではありません。
参考:朝日新聞DIGITAL/2018年7月4日記事
適切に処理されなかったプラスチックごみの多くは海に流れ込み、深刻な「海洋汚染」に繋がっています。
プラスチックごみによる海洋汚染対策
「年間約800万トン以上のプラスチックごみが海へ流れ込んでいる」と記載した通り、プラスチックごみによる「海洋汚染」が深刻な問題になっています。800万トンとはジャンボジェット機5万機の重さに相当します。現在、海には既に約1.5億トンのプラスチックごみが存在していると言われており、そこへ年間800万トンが蓄積しているとされており、生態系に甚大な悪影響を及ぼしています。
参考:WWF JAPAN/海洋プラスチック問題について
「マイクロプラスチック」は人体にも影響を及ぼす
海に流れ込んだプラスチックごみは分解されることなく、波や紫外線の影響を受け、細かいプラスチック粒子となります。自然に分解・循環されることはなく、数百年以上、海底に残り続けることになります。5mm以下に砕かれたプラスチックごみは「マイクロプラスチック」と呼ばれ、海洋生物が餌と間違え体内に取り込んでしまうこともあり、食物連鎖を通じて私たち人間にも取り込まれていると言われています。
1週間にクレジットカード1枚分のプラスチックを体内に取り込んでいる
WWF(本部、スイス グラン)は2019年6月12日、「平均的すると人は1週間にクレジットカード1枚分(約5g)のプラスチックを摂取していることが分かった」と発表しました。これは、WWFによるオーストラリア・ニューカッスル大学への委託調査をもとにしたDalbergの最新レポート『No Plastic in Nature: Assessing Plastic Ingestion from Nature to People 』で明らかになったものです。平均すると人は毎週2,000ものプラスチック小片を摂取しており、重さにすると1週間で5g、1カ月で21g、1年で250gになります。
引用:WWF JAPAN/報道資料
2050年には海洋生物の重量よりもプラスチックごみの方が重くなる?
プラスチックごみが適切に処理されず、今のペースで年間800万トンが海に流れ込み続けると、2050年にはすべての海洋生物の重さよりもプラスチックごみの方が重くなると推測されており、ますます海洋汚染が悪化していくことになります。現在、少なくとも約700種もの海の生物が海洋汚染によって命を落としていると言われています。その内、92%がプラスチックごみの摂取が原因とされています。
参考:WWF JAPAN/海洋プラスチック問題について
二酸化炭素による気候変動・温暖化問題への対策
プラスチックのほんどは石油由来でできており、焼却すると温暖化ガスであるCO2が発生し、気候変動に影響を及ぼします。近年では地球温暖化が進み、各地で記録的な猛暑や気候変動が問題視されています。プラスチックごみの増加は処理段階において海洋汚染だけでなく、地球全体に悪影響を及ぼす深刻な問題です。
繰り返し使えるノベルティグッズ
有料化や環境問題に伴い、今後は「繰り返し使える商品」が活躍する機会が増えてくるかもしれません。これを機に、お気に入りのカトラリーなど、繰り返し使えるエコな商品を探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は「プラスチック製品の有料化」に伴い、プラスチックごみによる「環境問題」などをまとめて解説していきましたが、いかがでしたか?有料化により「環境に対する意識が変わった」という人も多いのではないでしょうか。世界中で使い捨てプラスチックごみの削減と適切な処理が求められています。消費者、生産者共に不便に感じることも多いかもしれませんが、今回の有料化によって、ひとりひとりが環境に対する意識を見直す良い機会になっているのではないでしょうか。
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